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キリム

キリムとは、トルコ語で平織りのことを指し、絨毯のような毛足（ギャベ）のない織物のこと。テントで暮らす草原地帯の遊牧民や山岳地帯の牧畜民の生活から生まれた実用的な織物です。敷物としてだけでなく、暑さ寒さや砂から身を守る家として、また時には部屋の間仕切りに、時には暮らしを彩る装飾として、運搬用や農作業用の袋や布団や衣類の収納箱、塩や穀物など食品の収納袋、赤ちゃんのゆりかごから棺まで実に様々な用途に使用されて来ました。家畜とともに常に移動して生活する遊牧民にとって、キリムは無くてはならない生活必需品であり、大切な財産でもありました。

また、草木染で染められた毛糸で美しい模様が織り込まれているのが、キリムの最大魅力のひとつです。その多彩な柄は、地域や部族に代々口伝で伝わる伝統的なもので、祖母から母、そしてまたその娘へと織り継がれていきます。かつて、遊牧民の少女たちは物心のつく幼いうちから母や祖母の傍らで糸の染め方から紡ぎ方、織り方を身に付け、お嫁に行くまで様々なキリムを織りしたため、嫁入り道具にして嫁ぎました。
自然に左右され安定しない遊牧民の生活では、生活に窮するとこのキリムを売ってお金に換えることもあります。高度な技術と高いセンスを持つ良い織り手であればこのキリムが高値で売れ、一家に財をもたらすとして重宝されるため、良い嫁ぎ先に巡り会うため、女の子たちは幼い頃から一生懸命家々に代々伝わる秘伝の技術を習得し、伝承して行ったのだそうです。

キリムには様々な色柄や幾何学的な模様、シンボリックなモチーフなどが織り込まれています。彼らの身近にある自然や動物、家々に代々受け継がれた伝統的な模様、部族や地域特有の柄、宇宙的なひらめきや信仰、幸せ、豊穣、生命、魔除けなどの願いなどが複雑に組み合わされた柄の中に、織り手の女性たちの様々なメッセージや思いが秘められています。

キリムの歴史

キリムの歴史は絨毯より古く、紀元前7世紀頃のトルコ、アナトリア地方にキリムを織られたとされる布の残存が発見されています。現存する最古のキリムは16世紀のものと言われていますが、現在私たちが手に入れることのできるキリムで貴重なものは、アンティークキリムと呼ばれる100年以上前に織られたキリム、オールドキリムと呼ばれる40年〜100年前に織られたキリムです。
20世紀以降、西欧の文化が入り込むとともに、遊牧民の生活様式が変化し、現在遊牧で生活する民族が激減したため、アンティークやオールドキリムは手に入りづらく、現在では大変貴重なものとなっています。

キリムのお手入れ方法

ウールでできたキリムは、ウール自体の撥水性によって多少の水分や汚れを弾くため、日常のお手入れは通常のラグマットと同じく掃除機でお掃除して頂くだけで充分です。もしも濡れてしまった場合には、乾いた布などで十分に水分を吸い取ってから乾かしてください。また、キリムは湿気を嫌いますので時々干して風に当てるとよいでしょう。ひどく濡れるなどした場合、そのままにしておくと色にじみや色移りすることがありますのでご注意下さい。
キリムをご自宅で洗う場合は手洗いで、必ず水で洗ってください。軽い汚れは水洗いで十分ですが、洗剤を使う場合は頭髪用シャンプーや、ウール専用洗剤をお使いください。よく洗剤成分を水で洗い流したあと、水気をきってから形を整えて日陰干ししてください。（お湯を使うと色落ちし、にじんだり色移りしてしまいますのでおやめください。）
ご家庭でのお洗濯が難しい場合や汚れが気になる場合のクリーニング、万が一ほつれてしまったり傷んでしまった場合の修繕等、アフターサービスも承っております。当店でご購入頂いたキリムのクリーニング・修理等のご質問、ご相談はお気軽にご連絡ください。